不動産弁護士が名古屋・愛知県の不動産と相続の問題を解決

(金融マン・弁護士・不動産鑑定士として扱った不動産件数が4000件を超える不動産弁護士)

もうすぐ民法改正の施行日

1.民法債権関係)改正法の施行日について

(1)民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)の施行期日は

  令和2年(2020年)4月1日、つまり来月の初日からです。

(2)定型約款について

   施行日前に締結された契約にも、改正後の民法が適用されます

  が、施行日前(令和2年(2020年)3月31日まで)に反対の意志表示

  をすれば、改正後の民法は適用されません。

   この反対の意志表示に関する規定は平成30年(2018年)4月1日

  から施行されています。

(3)公証人による保証意思の確認手続について

   事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約は、

  一定の例外がある場合を除き、事前に公正証書が作成されてなければ

  無効となりますが、

   施行日から円滑に保証契約の締結をすることができるよう、施行日

  前から公正証書の作成を可能とすることとされています。

   この規定は、令和2年(2020年)3月1日から施行されています。

2.民法相続法)改正法の施行日について

  民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行日は、

 平成31年(2019年)7月1日でしたが、

  配偶者居住権配偶者短期居住権等(附則1四)については、

 令和2年(2020年)4月1日、つまり来月の初日からになります。

  また、法務局における遺言書の保管等に関する法律の施行期日は、

 令和2年(2020年)7月10日となっています。

瑕疵担保責任に関する民法改正(その2)

「瑕疵担保責任に関する民法改正(その1)」に続く

第2弾です。

 

従来の民法では、売主に対して瑕疵担保責任を追及する場合、

原則としては損害賠償請求が基本でした。

 

たとえば、

欠陥の修繕に必要な修繕費を損害として

賠償請求するなどです。

 

ただ、欠陥の程度が大きくて、

その物を買った意味がなくなるような場合には、

契約を解除して、支払った売買代金の返還と、

これに関係して発生した損害の賠償請求をすることができると

なっていました。

 

いずれにしても、

今までの民法では、売主に対して、

損害賠償請求契約解除の方法しか

法律上は認められていませんでした。

 

改正民法では、これらに加えて、

買主に追完請求権が認められるようになりました。

 

追完請求権とは、

欠陥を修繕しろとか、

欠陥の無い物に交換しろと言える権利です。

 

条文上は次のようになっています。

「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して

 契約の内容に適合しないものであるときは、

 買主は、売主に対し、目的物の修補代替物の引渡し又は

 不足物の引渡しによる履行の追完を請求することができる。

 ただし、

 売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、

 買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完を

 することができる。」(改正民法562条1項)

相手方弁護士が同時決済を知らなかった

リアルバリュー法律事務所での解決事例です。

当事者の特定を避けるため、

いつ頃の案件かが分からないように年月日などは伏せます。

また、事案の本質を変えない程度に事実関係を変えてあります。

 

土地・建物についての所有権の所在などに争いがあり、

最終的に、私の依頼者が

相手方名義の土地・建物を購入するという内容の和解

をすることになったという案件です。

 

で、購入予定の相手方の土地・建物に

A銀行の抵当権が設定されていました。

私の依頼者は、B銀行から融資を受けて、その融資金で、

この土地・建物を購入することになりました。

 

このような場合、

土地・建物の売買は、B銀行の一室に関係者が集まり、

B銀行から買主の預金口座に融資金が振り込まれ、

この融資金で、買主は、売主に代金を支払い、

売主は、

支払われた代金から、

抵当権を設定しているA銀行に抵当債務の残額を支払い、

A銀行は、抵当債務の残額が支払われたのを確認して、

A銀行の抵当権の抹消に必要な書類を売主に交付し、

売主は、権利証などの買主への所有権移転に必要な書類と、

A銀行から交付された抵当権抹消に必要な書類を買主に交付する

といった流れで取引が行われます。

これを同時決済と言います。

 

そのため、B銀行の一室には、

売主、買主、A銀行の担当者、B銀行の担当者そして、

所有権移転と抵当権抹消に必要な書類が

全て揃っているかを確認する司法書士などが

一堂に会することになります。

このうちの誰かが欠けても、

土地・建物の売買契約を実行できないことになります。

 

ところが、

相手方の弁護士が今ひとつ不安な人で、

同時決済ということの意味をよく理解していませんでした)

同時決済の日時を打ち合わせするときに、

「A銀行さんにも来てもらわないといけないので、

 今すぐには日時を決められませんね。」

と、それとなく言ってみたところ、

この弁護士先生は、結構な年配の先生でしたが、

「え、A銀行も来なきゃいけないの?」と

曰ってくれました(苦笑)

 

そこで、同時決済で行うことを説明し、

A銀行の担当者にも来てもらわなければならないことを

理解していただきました。

 

私が、今ひとつ不安に思った理由は、

実は、今までも、いくつかの案件で、

同時決済の意味をよく知らない弁護士先生がおられ、

今度の相手方弁護士も、

交渉過程における反応などから、

何となく知らなさそうだなあという雰囲気があったからです。

 

素人からすると、

弁護士は、法律に関することは何でも知っているだろうと

思われるかもしれませんが、

実務的なこと、事務的なことについては、

素人並み(場合によっては素人以下)の知識しかない場合もあるので

注意が必要です。

 

不動産について実務的なこと、事務的なことはもちろん、

以前に書いたと思いますが、弁護士は、

不動産に関する法律についても間違ったことを言う場合すらあります。

 

今まで、相手方弁護士が法律上間違ったことを

準備書面に書いてきた法律としては、

建築基準法都市計画法農地法土地区画整理法

地方税法などがあります。

購入した家がシロアリに侵されていた

リアルバリュー法律事務所での解決事例です。

当事者の特定を避けるため、

いつ頃の案件かが分からないように年月日などは伏せます。

また、事案の本質を変えない程度に事実関係を変えてあります。

 

中古の木造家屋を購入したところ、

しばらくして家の廊下に大量の虫の死骸が散らばっており、

念のため害虫駆除業者に調査をお願いしたところ、

虫の死骸はシロアリであることが判明しました。

 

そこで、民法瑕疵担保責任を売主に追及して、

シロアリ除去費用と修繕費用を売主に損害賠償請求し、

裁判所に訴えを提起した案件です。

瑕疵担保責任とは、

売買契約時に発見できなかった欠陥が、

売買契約後に発覚した場合に、

売主は、その欠陥の修繕費などを

損害賠償する責任があるというものです。

 

ただ、損害賠償請求する以上は、

損害がどの程度で、

その駆除費用や修繕費用がいくらかを

明確にしなければなりません。

 

そのため、害虫駆除業者にお願いして、

天井裏から床下まで、

家の中のあらゆる場所を調査してもらい、

豊富な写真付きの調査報告書を作成して、

これを証拠として裁判所に提出しました。

 

シロアリの侵食の程度は結構大きく、

そのうちに、天井の一部が絶えられずに

落ちてきたりもしました。

 

被告である相手方は、

当初、売買の後でシロアリが発生したのだから

売主に責任は無いと主張していました。

 

こちらとしては、

シロアリの生態に関する各種資料を

証拠として提出し、

これらの資料や

シロアリによる本件家屋の現実の侵食の程度から

シロアリは、

売買契約よりもずっと前に発生していたと反論しました。

 

結局、裁判官から、

売買契約前からシロアリによる侵食があった

可能性が強いと言わざるを得ないとの心証開示があり、

裁判官の和解の勧試により、最終的には、

被告が原告にシロアリ駆除・修繕費用を支払う

という内容の裁判上の和解が成立しました。

 

駆除・修繕費用としていくら払うかがまとまるまで

それなりの紆余曲折がありましたが、

最終的には、双方がお互いに納得する内容にて

和解をすることができました。

マンションの固定資産税評価額を争うも・・・

リアルバリュー法律事務所での解決事例です。

当事者の特定を避けるため、

いつ頃の案件かが分からないように年月日などは伏せます。

また、

事案の本質を変えない程度に事実関係を変えてあります。

 

マンションの固定資産税評価額がおかしいということで、

行政に審査申出をしたけれど却下されたという事案です。

 

マンションなど建物の固定資産税評価額は、

マンションの構造・設備・施工などについて評点を付け、

この評点を積み上げ、評点の合計に一定金額を掛け合わせる

といった方法で

建物価額が評価されています。

 

ところが、この事案では、

コンクリート打放し仕上げ施工でない部分について

コンクリート打放し仕上げ施工の評点が付いていたり、

モルタル塗り仕上施工でない部分について

モルタル塗り仕上げ施工の評点が付いていたりして、

マンションの評価額が過大になっていました

 

当然、評価額が過大であれば、

支払う固定資産税も過大になってしまいます

 

行政への審査申出が却下されたので、

やむなく、裁判沙汰ということになりましたが、

これの第一審の裁判官は、

コンクリート打放し仕上げ施工とか

モルタル塗り仕上げ施工ということについて、

専門家的知識はもちろん、

一般常識も持ち合わせていませんでした。

 

当初は、民事訴訟当事者主義(原告や被告という

当事者が主張・反論や証拠を提出しなければならず、

裁判所は、主張や証拠を出せと指示するだけで良い

という制度)から、

裁判官が色々なことを言ってくるのかと思いましたが、

裁判期日を重ねているうちに、

この裁判官は、そもそも建築等について、

素人レベルの常識も無いということに気付きました。

 

したがって、

建築の教科書などを証拠として提示して、

コンクリート打放し仕上げ施工や、

モルタル塗り仕上げ施工の定義や説明など、

素人向けに説明するような証拠の出し方になりました。

 

しかしながら、

第一審の裁判官は、結局、

コンクリート打放し仕上げ施工と

コンクリートに何の仕上げ施工もされていない

剥き出しのコンクリート壁の区別や、

モルタル塗り仕上げ施工と

モルタル塗りがされていない壁の区別をすることなく、

「本件建物のこの部分には、

 コンクリート打放し仕上げ施工や

 モルタル塗り仕上げ施工がされているものと

 解釈できる」

というような訳の分からない理由で、

こちらの敗訴判決を宣言しました。

 

訳の分からない理由とは、こういうことです。

 

ただ単にコンクリートが剥き出しになっている壁を

コンクリート打放し仕上げ施工であると解釈できる

と言うことは、

木造建物を鉄筋コンクリート造と解釈できると言う

ことと基本的に同じだからです。

 

すなわち、

コンクリート打放し仕上げ施工になっているか、

モルタル塗り仕上げ施工になっているかどうかは、

事実そのものであって、

解釈によって変わることはありません

(当たり前です)

 

それにもかかわらず、

第一審の裁判官は、解釈で事実を曲げてしまった

わけです。

 

この案件の依頼者は、

建築の専門家であったたために、より一層、

「実際に写真や現地を見れば、

 仕上げ施工が無いのは明らかなのに、

 解釈で仕上げ施工があることになってしまうなんて、

 全く訳が分からん

 これなら、木造家屋でも、解釈で、

 鉄筋コンクリート造になってしまうではないか

と頭を抱えることになってしまいました。

 

当然、控訴提起することになりましたが、

控訴審の裁判官もイマイチ仕上げ施工があるか否かが

単純な事実の問題であることから目をそらし、

行政の解釈で変わりうるというような

行政側の目線で訴訟指揮を行ってきました。

 

原告である依頼人が専門的知識に基づき、

様々な資料を出して、

(「こんなことまで証拠を出さないと

 裁判官は分からないのか」とぼやいてましたが)

請求の一部を認めてもらうことには成功しました。

 

この案件は、

木造家屋を鉄筋コンクリート造であるとして

固定資産税を課税したのと同様のことを

行政がしてきたわけなので、

本来は、

こちらの請求が全て認められて当たり前の案件

だったとすると、

税務訴訟を課税庁に対して提起することが

いかに難しいことであるかが分かります。

占有移転禁止仮処分で延滞借主が退去

訴訟などの本来の手続の前提となる処分の段階で解決が付いた事案です。

 

通常、家賃滞納の借主を退去させるためには、

家賃滞納を理由として賃貸借契約を解除し、

解除の結果、借主が物件に滞在する理由がなくなるので、

物件の明渡を求める訴訟を提起したりします。

 

ただ、明渡しの判決をもらっても、

強制執行をするときに、

判決の被告とは違う人が物件にいると、

その人に対する直接の判決が無いためややこしいことになります。

(家族とかであれば、利用補助者とか、履行補助者と言われて、

 被告である借主の一部みたいな扱いになりますが)

 

強制執行をしたときに、

被告とは全然違う人がいた場合であっても、

その人に対しても出ていけと言えるようにするのが

占有移転禁止の仮処分です。

 

占有移転禁止の仮処分が決定して執行されていると、

借主は、

物件の占有を他者に移転することができないということになるため、

強制執行のときに他人がいても、

その他人は、物件を占有していることになりません。

物件を占有していないので出てけと言えるわけです。

 

この占有移転禁止の仮処分自体は、

執行官が物件を訪ね、

物件の中に入って仮処分の貼り紙をするというだけですが、

裁判所の執行官が行う手続なので、

これで観念して自分から出ていく延滞借主もいます。

 

最近もそのような案件がありました。

占有移転禁止の仮処分で素直に出ていかない延滞借主に対しては、

訴訟して、判決を取って、強制執行ということになります。

借りた後で賃貸借物件に不具合が発生したとき家賃減額を請求できるか

現行民法では、賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、

賃借人はその滅失した部分の割合に応じて賃料の減額を請求することができる

となっています(611条)。

 

しかしながら、滅失以外の場合、たとえば、大雨のために雨漏りがして、

部屋の一部が使えなくなったような場合に、

その使えなくなった割合に応じて家賃の減額を請求することができるのか

という疑問に答えることができる条文がありませんでした。

 

現行民法で規定しているのは賃借物の一部が「滅失」したときの規定であって、

滅失したわけではないが、

使えなくなったというような場合にピッタリな条文がなかったわけです。

 

ところが、改正民法では、

「 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることが

 できなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することが

 できない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益を

 することができなくなった部分の割合に応じて、減額される

 2 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益を

  することができなくなた場合において、残存する部分のみでは

  賃借人が賃借をした目的を達成することができないときは、

  賃借人は、契約の解除をすることができる。」

と変わりました。

 

まず、滅失だけではなくて、「滅失その他の事由により」と改められ、

様々な場合に対応できる条文になりました。

 

次に、減額を請求することができるではなく、「減額される」

断定的な文言になりました。

法的には、借主が減額請求しようがしまいが、

当然に「減額される」ということになってしまったわけです。

瑕疵担保責任に関する民法改正(その1)

瑕疵担保責任とは、売買契約で買ったものに瑕疵すなわち不具合があった場合に売主に対してその責任を問うものです。

改正民法瑕疵担保責任について考え方や具体的な解決方法を変えています。

まずは、改正後の規定を見てみましょう。

 

改正民法562条

「 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して

 契約の内容に適合しないものであるときは、

 買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し

 又は不足物の引渡しによる履行の追完を請求することができる。

 ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、

 買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

 2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、

  買主は、同項の規定による追完の請求をすることができない。」

 

現在の瑕疵担保責任は、解釈によって、特定物に関することに限られ、

また法文によって瑕疵とは「隠れた瑕疵」ということになっています。

特定物とは種類物でないということです。種類物とは、同じ内容・品質のものが多数存在する商品のことです。

たとえば、大量生産される新車は種類物ですが、中古車は、全く同じ物がこの世に一つしかないので特定物ということになります。

隠れた瑕疵とは、売買契約をした時点では買主が気づけなかった瑕疵のことです。

 

改正民法では、特定物・種類物という分類に関係なく瑕疵担保責任を追及できるようになりました。また、法文から「隠れた」という文言が消えました。

 

判例は、隠れた瑕疵と言えるためには、買主が善意・無過失すなわち、瑕疵があることについて知らなくて、かつ、知らないコトに過失が無いことが必要だとしていました。

 

しかし、改正民法は、「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」という書き方に変わっていることから分かるように、売買契約において、売主・買主が、目的物について、その種類・品質・数量をどのようなものとして把握していたのかが重要になります。

それを前提として、給付された物がその契約内容に適合しているかどうかを判断することになるわけです。

 

逆に言うと、契約に適合していたかどうかという問題に帰着するため、瑕疵が隠れたものであるかどうかを判断する必要がなくなったということになります。

契約不適合と言えば良く、「瑕疵」という言葉が不要になったと言えるかもしれません。

山と立木

山には木が茂っていますが、

樹木の種類などによっては、山の土地としての価値よりも、

茂っている樹木の方に価値があるということが多くあります。

 

ところが、何もしないと、

山の土地に生えている樹木は、山の構成物となり、

山と一体の物として取り扱われます。

したがって、山を売れば、

その山に茂っている樹木も売ったことになるのが原則です。

 

しかし、山よりも樹木の方が価値があるというような状況ですと、

樹木だけを独立して取引の対象にしたいとか、

樹木だけを担保に取りたいというようなケースが起こります。

 

そこで、「立木ニ関スル法律」という法律があります。

この法律では、

「本法ニ於テ立木ト称スルハ一筆ノ土地又ハ

 一筆ノ土地ノ一部分ニ生立スル樹木ノ集団ニシテ

 其ノ所有者カ本法ニ依リ所有権保存ノ登記ヲ

 受ケタルモノヲ謂フ」(1条1項)

と定めて、立木登記ができるようになっています。

 

登記ができるのですから、立木登記をすれば、

立木だけを土地から独立して取引の対象にできるし、

立木だけを土地から独立して担保に入れるということも

できるというわけです。

 

また、この法律によらなくても、

明認方法という方法で、立木を土地とは独立した財産として

取り扱うことができます。

明認方法とは、立て札を立てたり、

木を削ったりして、所有者の住所・氏名など一定の事項を明記し、

これらの樹木は、土地とは独立した財産だよと示すこと言います。

 

ただし、

明認方法に記載されている所有者が亡くなっていたりすると

その明認方法が本物なのかどうか、

判別の仕様がないということがあり得ますし、

登記所の登記のような明確なものではないので、

いろいろと問題が発生することがあります。

遺言書の保管制度

相続法の改正で、自筆証書遺言保管する制度が創設されました。

「法務局における遺言書の保管等に関する法律」という法律によって、

遺言書保管所の遺言書保管官が取り扱うこととされています。

 

この制度は、遺言書の利用促進を図ると共に、

法務局で自筆証書遺言を保管することによって、

遺言書の偽造・変造・隠匿などによる紛争を防止するために

創設されました。

 

保管申請の要件は、

①一定の様式のものであること

②無封であること(封をしていないこと)

③受遺者、遺言執行者等の住所氏名を明らかにすること

④遺言者自身が遺言書保管所に出頭すること

です。

④の遺言書保管所の管轄は、

遺言者の住所地、本籍地、所有不動産所在地です。

 

この制度を利用すると、

遺言書保管所の施設内で遺言書が保管されることになりますが、

遺言者は、閲覧や保管申請の撤回は可能です。

遺言者が亡くなった後は、

相続人、受遺者、遺言執行者など法定の利害関係人は、

遺言書情報証明書の交付請求ができます。

遺言書情報証明書の交付または、遺言書の閲覧があったときは、

法務局から、これらの法定の利害関係人に遺言書保管の事実が通知されます。

また、遺言書の検認も不要になります。

 

上に書いたように、

保管後の遺言の撤回は可能ですし、

矛盾する遺言をすれば、後の遺言の方が優先される(民法1023条1項)ことに変わりはありません。

したがって、遺言書の保管制度は絶対的なものではありません