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名古屋市中川区の農地交換申告ミスで思わぬ課税


  
今日の朝刊によると矢作建設工業による土地開発をめぐって地権者約30人が
名古屋国税局から譲渡所得申告していないとして指摘された。
仲介業者が終始「土地交換なので非課税」と説明していたが、
最高2000万円近い税負担をする人もあり、お金を工面できない人は頭をかかえているらしい。
土地交換の場合、土地を譲渡して、別の土地をもらうという形のため
現金は入ってこず、納税のためのお金を用意しなければならないのだ。 

土地交換の非課税のためには必要な要件があるが、
その一つに、地権者どうしの土地の等価交換というのがある。
ところが、本件では、
交換する農地を矢作建設工業が地権者から一時的に所有名義を移す形になったため、
地権者どうしの交換とは認められず、
土地譲渡所得税を払わなければならなくなった事案のようだ。

矢作建設工業は、課税するか否かは税務当局の判断であると述べているらしいが、
土地交換の譲渡所得非課税の基本的な条件は、不動産を扱う者にとっては常識であり、
かつ、契約当事者は、
契約の相手にいたずらに損害が発生しないように配慮する義務があることからすると、
同社のこの抗弁が成り立つのはかなり厳しいかもしれない。
同社が一時的にでも土地所有権を取得すれば非課税措置が受けられなくなることは
同社にとって常識であるから、
これを知らなかったということは難しいし、
そうであれば、
不動産の専門家である当事者として課税についてきちんと説明する必要もあった。
仲介業者が非課税の交換であると説明していることは当然分かっていたはずであるから、
一旦自社が所有権取得したために非課税措置にならないことを説明すべきであった。
 
仲介業者は、
「課税に関しては従前地を売り渡し、
 換地を取得したものと見なされることがあることを理解し、承諾します」
との承諾書を得ていると言っているらしい。
しかし、
地権者らは、その承諾書に署名する際にも課税されないことを
口頭で仲介業者に確認しているので、
この承諾書は、
非課税になるかどうかについて不明確で微妙な条件がある場合の特約であって、
明らかに客観的に非課税にならない条件の場合は当然に除外されていると考えられる。
矢作建設工業が自社の所有にすれば
地権者どうしの交換にはならないから非課税にならないことは
客観的に明らかで解釈の余地がない。
したがって、
矢作建設工業が所有権取得したことを無視して(あるいは確認もせずに)
非課税と説明していたのなら、
明らかに説明ミスだ。
この承諾書で今回の件について仲介業者の責任が免れるとすると、
非課税にならないことが明確なのに、
そのことについて仲介業者が重大な説明ミスをしたにもかかわらず、
その仲介業者の責任を免れさせる承諾書となってしまう。
もし、承諾書がそのような意味であるとすれば、
その承諾書は、
公序良俗違反(民法90条違反)や消費者契約法10条違反などで無効になるだろう。
 
矢作建設工業と仲介業者には厳しいことになるかもしれない。