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借主への立ち退き請求が立退料ゼロ円で認められた判例(その1)

大阪地方裁判所・昭和56年4月21日判決(判例タイムズ449号)
  
市場の移転を理由とする市場内店舗の賃貸借の解約申入れにつき、
市場の移転計画に必要性、合理性、相当性があり、かつ、
市場内店舗の賃借人の大多数が右計画に賛成しているうえ、
反対する賃借人(原告)に対しても充分な配慮、説得に努めたものであるとして
立ち退きの正当事由を認めました。
  
大阪地方裁判所つまり大阪地方の案件なので市場は「いちば」でしょう。
関東方面の人は、市場(いちば)と聞いてもピンと来ない人も多いみたいですが。
 
多数の商人に店舗を貸している市場(いちば)の貸主が
より良い環境に市場を移転させるために、新しい市場に賃借人も店を移転するか、撤退するか
のどちらかを要求したという事案です。
 
他の店舗の賃借人が皆、新しい市場に移転することに同意または市場からの撤退のどちらかを
選んだのに、一人だけゴネたというケースです。
 
この案件では、立ち退きを要求した貸し主は、株式会社であり、
しかも、この会社から店舗を借りている賃借人たちは、
実は、この会社の株主でもあったという特殊な事情がありました。
 
市場が移転すれば、前に市場だった場所に居残ることに合理的な理由はないにもかかわらず、
また、自分が他の借主と一緒に株主という存在となっている株式会社からの要求であるにもかかわらず
なぜかゴネ続けたいうことで(株主間での内部紛争という見方もできるかもしれません)、
裁判所は、貸主に立ち退きの正当事由があると認めました。
 
立ち退きを要求された賃借人から、立ち退きを要求した会社への損害賠償請求の裁判だった
ようですが、
借り主からの立退料の提示額はなかったらしく、損害賠償額の判断がないようなので
結局、立退料はゼロ円だったということでしょうか。